あたらしい恋


「たまには、メールとか、するから。」

別れ際にアイツは言った。
俺達はもう終わったっていうのに。

べつに嫌いになって別れた訳じゃない。
「男同士」という障害を乗り越えることができなかった。

周りの目を気にして臆病になってた、俺。
周りの目も気にせず、想いをぶつけてきたアイツ。

一度は結ばれたものの、最後まで俺の中で罪悪感は消えなかった。
まともに親の顔も見れない日々が続いた。
お互いが不毛な恋だって知りながら、現実に目を背けていた。

年を重ねるごとに現実が迫ってくるのをお互いが知っていた。
それでもアイツは俺を愛することをやめたりはしなかった。
俺だって愛してた。

アイツと話すこと。
アイツと手をつなぐこと。
アイツと抱き合うこと。
アイツとキスすること。
アイツとセックスすること。

一つ一つの時間がかけがえの無いものだった。
けれども現実という名の恐怖にいつも怯えていた。
自分でも気づかないうちに周りに敏感になっていた。

アイツはそんな俺を…わかっていた。

「別れよう。友達に戻ろう」

そう言い出したのはアイツだった。

俺のことをもう好きじゃないって言ったアイツの目は
俺をアイシテルって訴えかけてた。

結局は一緒にいることに苦しんでいた俺を
アイツは救ってくれた。

アイツの救いの言葉に甘えて、俺たちは終わった。

そして、友達に戻るハズだった。


だけど、アイツが最後に言った言葉が俺をがんじがらめに捕らえて離さない。

「また、メールとか、するから。」

そんなこと言われたら、期待するじゃないか。

また、メールとか、電話とかがくるんじゃないかって思ったら、携帯を片時も離せないでいる自分がいる。

携帯を睨みながら俺は考えた。
このままじゃアイツを忘れることなんてできやしない。
俺が幸せな恋をして、家庭を築かないと、俺たちが別れた意味がない。

気持ちが決まったと同時に、携帯を川に投げ捨てた。
アイツの面影を消すように。

俺は…あたらしい恋を探さなければいけないのだと思う。








あとがき

背景の写真の花は「ポリクロマ」
花言葉は「新しい恋」だそうです。

実はこれ、半分実話です(汗)
私は携帯を川に捨てるなんていう思い切ったマネはできませんが、
「また、メールするよ」という元彼の言葉が忘れられなくて携帯を買い換えました。
いっつも携帯が気になっちゃうし、期待してしまうから。

しかし、この「俺」と「アイツ」はどんな人物なのでしょうかね〜。(←考えてないのかよ!)
ふと昔のことを思い出して赴くままに書いてしまったもので…(笑)



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