<京都の夜>


その夜、僕たちが泊まった宿は昨日僕が泊まった殺風景なシティホテルとは比べ物にならないくらい綺麗な純和風旅館だった。
なにしろ僕らが通された部屋は「離れ」だ。
ひどく高級そうな部屋に僕は言葉も出なかった。


「なんだ、おとなしいじゃないか。」


「だって、こんな高そうな部屋だから緊張しちゃって。」


「気にするな。その分・・・」


「わわわ、その先はゆーな!」


どうせいやらしいことを言うに決まっているんだ。この男は。


「ふーん。」


「何っ?」


「お前、いやらしいこと考えてるだろ?」


完全に見抜かれているようでくやしかった。
おかげで顔が赤い。


「顔が赤いぞ。」


「ば!ばか!そんなことない。」


そう言って悠人は僕の頬を両手で包み込んだ。


「あったかい。」


「そう?」


目が合って、合図されたように唇が落ちてくる。
キスする瞬間って好きだなぁと思う。
唇が重なるまでのほんの数秒は、とてつもなくドキドキするのだ。
合わさった唇は最初乾いていて、けれど口づけが深まるごとにどちらも濡れぼそっていく。
お互い、唇という一つの場所に集中した。
濡れた音が聞こえる。


コンコン。


部屋の扉がノックされる音に、僕たちの動きは止まった。


「夕飯だ。」


「そうみたいだね。」


「残念だったな。続きはまたあとで。」


「誰が残念だなんて・・・!」


「あっそ。」


そう言う悠人は僕の下半身を一瞥して戸口へと向かった。
あっそ、じゃないよ!
僕は熱くなっているところを隠すようにして座った。




料理は最高だった。
京野菜をふんだんに使い、どれも芸術品のように風情があるものばかりだった。
それから檜張りのお風呂もとても気持ちが良かった。
お風呂上り、紺色の浴衣を着て部屋の外の月を見た。
なんか、幸せだなぁって思うんだよね。
今の自分。
正直ちょっと悠人がお風呂から出てきるのが待ち遠しい。
湯に浸かって火照った体をちょっと持て余しながらしかれていた布団に倒れこんだ。
今日一日のことを思い出す。
綺麗な紅葉を見て、それから素敵な人にも出会った。
優しい京都弁を話す、優しい人。
うまく行ったからもう会うことはないかもしれないけれど、いい人だったなぁ。


「何ぼーっとしてんだ。」


気がつくと、悠人が風呂から出てきていた。
それにしても色っぽい。
僕と同じ紺色の浴衣だけれど、すごい大人の色気を感じる。
なんかドキドキしてきた。


「浴衣似合うね。」


「何、欲情したか?」


「バカ!誰が男の浴衣に欲情するか!」


「そうか?俺はするけどな」


へ?
気がつくと悠人は俺の上にまたがるようにして乗ってきた。


「あ・・・。」


「さっきの続き・・・しようぜ。」


悠人はそう言ってもう一度僕にキスを落した。
絡みつくような、キス。
ついばむような、キス。
そんなキスを交互にされて僕は溶けそうだ。


「赤くなってる。かわいいな、凛」


キスをされただけどこんなになってしまう自分が恐ろしい。
悠人は次に僕の浴衣の隙間から手を入れてきた。
ひんやりとした空気が一瞬入り込む。


「浴衣の着方、逆。」


「え?うそ?」


「まぁ、どうせ脱がすから同じだけど。」


そう言ったころにはほとんど上半身は露わになっていた。
キスをしながら、胸の突起を指で擦る。


「あっ・・・はぁ・・ん。」


「すげー乳首たってるぞ。」


「そんなこと・・・いちいち言わなくても・・・は・・・あ。」


僕は反撃とばかりに悠人の着物のすそから手を入れ、同じように胸をいじった。


「っく・・。」


悠人の息が上気していくのがわかってうれしい。
僕の中心はすっかり大きくなっているけれど、そこにのっかている悠人のもだいぶ張り詰めてきていた。
イタズラをするように、その合わさった部分を擦り付ける。


「は・・・。」


「ああっ!」


同時に僕にも言いようのない快感が走りぬけた。


「凛エロすぎ。腰動かすなって。」


「だって・・・あ・・ふ。」


悠人は僕の股間に手を伸ばした。


「パンツなんかいちいち履かなくてもいいのに。」


そう言ってトランクスの上から熱い塊を握った。


「あ!・・・ダメ!」


ヤバい。気持ちよすぎる。


「なんかいつもより感度いいな。お前。」


「いじわるいわないで・・・ん。・・・あっ。」


そのままそこを扱く。
すでにお互いお腹につきそうなくらいそこを張り詰めさせていた。
悠人は僕のトランクスをいとも簡単に下ろした。
そして、いずれ使われる器官への愛撫を開始する。
僕の先走りをそこに擦り付け、いっぱい入り口をほぐした後に指を差し入れた。
すっかり受け入れることになれてしまっているそこは痛みすら感じなかったが、期待にあふれてきゅっとひきしまった。


「おい、俺の指を食いちぎる気か。すげーよ、ココ。」


「あ・・・ん。もう・・・だめ・・・だってば・・あああ・・・はぁ・・・。」


「もうダメだ。俺ももう限界。」


「ん・・・いいよ・・・来て。」


「ああ・・・。」


いつもはもっとちゃんと慣らすが、今日はお互いに高ぶっていて性急に行為へと進んだ。
張り詰めた悠人のモノがじわじわと侵入を開始する。
全部入ったところで僕はまたさらにそこを狭く引き締めた。


「すごいな・・・今日は。イイよ・・・凛。」


「・・く・・・ゆう・・とぉ・・・あったかいよ。」


「動いていいか?」


僕はもう声にならずただ首をカクカクと上下にふった。


いつもより大きいのが、僕の中を駆け回る。
快感で頭がどうにかなりそうだった。


「あ・・ああ・・・はぁ・・・・んあ!悠人!」


「っく・・う・・凛・・・好きだ。好きだ。」


もう二度と言わないなんていっていたのに。
僕は今全身で悠人から愛されていることを実感した。


「あっあっもうイキそう!」


「ああ。俺ももうダメだ。一緒に・・・」


お互い同じリズムで腰を打ち付ける。
その速さはどんどん早まっていった。


「あっあっあああ・・・!」


体中の細胞が、快感に染まる頃、もう一度悠人は言った。


「好きだ、凛。」


ああ・・・心までイキそうだ。



京都の夜は
はてしなく長くなりそうな予感がした。


― Fin. ―






スイマセン。ただのエロでした(爆)
やっぱりえっちシーンかくのってはずかしいです。体中カユい!
まぁこの二人はらぶらぶだったってことで。
読んでいただきありがとうございました。


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