9.始まりの夜

「君、俺と寝ないか?」

そんな唐突な言葉から「彼」との関係は始まった。

公園のベンチに一人うずくまる僕に、見知らぬ男が声をかけた。
普段なら突然そんな怪しい言葉を言われてついていくような自分ではない。
しかしその時の危うい心理状況が僕に「YES」と言わせてしまった。
もうどうでもよかった。
今までいろいろなことを考えすぎたせいか、もう考えることに疲れてしまったのかもしれない。
とにかく何も考えずに受け入れてしまった。
何よりも僕の体を慰めてくれればよかったのだ。
決して誰でも良かったわけではない。
しかし、彼は僕と同じような、傷つけられた哀しい目をしていた。

「いいよ。」

「そうか。じゃあ行こうか。」

僕らはそれくらいの言葉しか交わさなかった。

僕は男の車の助手席に乗り、流れる外の景色をただひたすら眺めていればよかった。

男に連れて行かれたのは結構高級そうなベイエリアにあるホテル。
ロビーに僕を待たせてフロントに向かう男の後姿を見て気づいた。
どこか、隆平さんに似ている。…と。
声も顔も全然違う。けれど何かが。
雰囲気だ。
僕の好きな隆平さんの持つオーラと近いものを感じる。

男がチェックインを済まし、エレベーターへと乗り込む。
二人だけの空間。
男は僕の肩に手を伸ばした。
狭い空間に二人でいると妙に緊張してしまい、階数表示をじっと目を凝らして見つめていた。

10…

20…

30…31…32…33

33という数字をランプが灯してエレベーターは止まった。

3312号室。

カードキーを慣れた手で差し込むと、部屋の扉を開けて僕を招き入れる。
キレイな部屋だった。
33階というだけあって窓から見えるベイエリアの夜景も申し分なかった。

しかし夜景など見る余裕もなく僕は男に後ろから抱きすくめられた。
そして向かい合うように向きなおされる。

一瞬…目が合った。

すぐに唇があてがわれた。
口元から吐息が伝わってくる。
はじめはついばむように優しく、そしてだんだんと激しく。
しだいに男の下が僕の口の中に侵入してきた。
初めての感覚に眩暈がしそうになる。
舌先で歯列をなぞられて僕はびくっと震えた。
乱れる呼吸。
唾液の絡み合ういやらしい音。

「ふっ…ん…。」

ひとしきりキスを繰り返した後、男は軽々と僕を持ち上げるとベットの上に降ろした。
その間中もずっと口は犯されたままだった。
男と僕、二人分の体重が乗ったスプリングが弾む。

僕は朦朧とした意識の中、男の顔を眺めた。
目が冴えないせいか男の顔が隆平さんに見えた。
その瞬間コレは全てまた僕の淫らな夢なのではないかと思った。

「最中は他のヤツのことは考えるな。コレはルールだ。」

男は僕の気持ちを見透かしていたのだろうか。
そんな忠告をしながら次の行為へと進んでいった。

シャツの上から胸をさわられた。
そして探るように乳首をツンと触った。

「あっ…」

今までそんな所を触られたことも無い僕は必要以上に反応してしまった。

男はその反応を見てさらにそこへの攻撃を開始してきた。

男の僕についていることの意味をわからなかったその突起が、男の愛撫を受けてぷっくりと固くなっている。
はじめは軽く触り、つまむ。
そして先端の部分を指と指の間に挟まれて擦られた。

いいようもない快感が僕の全身をすりぬける。

「はぁ・・・ん。」

まるで女みたいな声があふれ出る。
はずかしくなって僕は横に顔を背けた。

男の手は徐々にシャツのボタンを外していく。

あらわになった僕の両胸の突起をひとしきり弄ぶと、今度は舌をのばしてきた。
男の息が僕の胸にかかる。
くすぐったさとともに僕は自分の男の部分がむっくりと膨れてきている圧迫感を感じた。

男はそんな僕の様子に気づいたのか、ズボンの上からやんわりと掴んできた。

高まる鼓動。


「あああっっ・・・ふ・・・ん」

性急にチャックを下ろすと下着の脇から手を忍び込ませる。

直に男の手が触れたその刹那

めまぐるしい快感が突き抜けた。

「ひゃっ・・・」


男は無言のまま直接愛撫を続ける。

右手は胸の突起に。
左手は下半身に。

こういう経験があまりない僕はすでに限界を迎えていた。

「はぁ・・・」

擦られるたびに電流が走る。

早まっていく男の手。
気づくと男の息も相当荒くなってきていた。
密室に重なり合う淫らな呼吸音。

「あ・・・あ・・・んふっ。いやぁ・・・もう・・だ・・め。イク・・」

僕はこらえ切れずに男の手の中に精を放った。

ドクリ。

生ぬるい感覚がする。


しかし僕が果てても男の手は止まらなかった。

イッタ後で敏感になっていた僕の体は更なる愛撫に再び熱をもち始めた。

男が自分のズボンのベルトを外し、ジッパーをおろす。

大人の男性の「それ」がそそり立っていた。

彼も限界なようだった。

そしてその昂ぶりをどうやって彼が鎮めたいのか僕は知っていた。

男は僕の後ろの蕾に手を伸ばす。

自分でも触れたことのないようなところ。

しかし入り口付近を擦られるとかすかな快感が感じられた。

男はサイドテーブルに置いてあったゼリーを自らの指につけると徐々にソコに指を沈めてきた。

開発されていない僕の体は簡単にはそれを受け入れなかった。
鈍い痛みが走る。
それでも男の指は優しくて、だんだんと指が入っていくのを感じた。

第一関節、第二関節・・・そして指はすっぽりとおさまった。

中で軽く擦られる。

なんともいえない感覚。

気持ちよさと痛み

「っく・・・」

しかし徐々にその感覚にもなれてきた。その時、指は引き抜かれた。

そして訪れる、更なる圧迫感。

男の大きなモノが秘部に押し当てられる。

腹に来る言いようもない圧迫感が僕を苦しめた。

「っつ・・・。」

痛みに顔をこわばらせる。

「痛いか?」

男がここへ来て初めて言葉を発した。

僕はかぶりをふって男を受け入れようと力をこめた。

「力抜いて。」

男はそう言うと徐々にではあるが腰を押し進めてくる。

すべておさまったころから、じわじわと快感の波が押し寄せてきた。

だんだん早くなる腰の動きに身を任せながら、夢中で腰を振っていた。

擦られる内壁が快感に悲鳴をあげる。


「あああっううん・・・・あっ・・・あっふ・・・んああっ・・」

かすみゆく意識の中でだんだんと男のシルエットがぼんやりとかすんでいく。

しだいに男が隆平さんであるかのような錯覚を覚えた。

男が果てる時、僕も二度目の頂点を迎えた。

頭がスパークする。



瞬間・・・隆平さんが見えた気がした。



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